story

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去年の夏は、あーちゃん率いる、友達のマイコ一家とアラスカで過ごしていた。




バンクーバーから車で国境を超え、
シアトルから飛行機をみっつ乗り継いでたどりついた小さな村で。
サーモン漁がある夏の人口は200人、冬は4人というコーヒーポイントという村で10日ほど過ごした。
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マイコと一緒にバンクーバーに帰る日がせまってきたころ、
どうしても見ておきたいと、マイコ家に別れを告げ、人口300人のキングサーモンの街へ飛んだ。
ここからまた水上飛行機に乗り換えて行ったところに、大自然の宝庫カトマイ国立公園がある。
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ここまで来たならぜひ見てほしいとマイコからも言われていたこの公園。
ただ、アラスカでも人気の場所なだけに、ホテルは前の年から予約でいっぱい。
急な思いつきで多少無謀だけど、なんとかなるさと飛んだ。
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関東平野と同じくらいの広さでのびのびと暮らすヒグマたち。
ここのヒグマちゃんたちは、他に類を見ないほど、
人間を恐れず、そして興味も示さないそうだ。
人間の食べ物を取ったり、人間と対立しないようなケアがされているってのは、
中のトレイルをちょっと歩いただけでも十分伝わってきた。
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そして、このヒグマと並んでこのカトマイの目玉といえば、
火山噴火によってできたValley of Ten Thousand Smokes(一万本の煙の谷)だ。
ここに立ってみたいと強く思った。
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トレッキングツアーの日はすんごい土砂降り。
急な思いつきで十分な装備もしてないおりっつあんは、
全身びしょりんこになりつつ、ぶるぶる震えながら、進む、進む。
「あんた、アラスカなめとるやろ!?」と何度も自分の無茶ぶりにツッコミ入れつつ。
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それでもこの谷に立ったとき、あまりのダイナミックさに、
その日に泊まる場所がないことも、全身びしょ濡れなことも、
すべてのことがどうでもいいことじゃん、
バンザーイ!ここに来れてよかった!と雑念が吹っ飛ぶ。
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たまには大自然のすごさに打ちのめされる経験っていいもんだ。

そんなこんなで水上飛行機でキングサーモンにもどり、ホテルを探した。
水上飛行機のオフィスの電話を借りて、同じく宿無しの韓国人二人組といっしょに。
やはり片っ端からかけてもかけてもどこも満室。
普通なら空港で夜明かしってなもんだろうが、キングサーモンは空港は夜閉鎖される。
途方に暮れかけたころ、スタッフの男の子が、
「ぼくたちの社宅でいいなら部屋あるよ」と言ってくれた。
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まちがいなく、人生で感動したベスト3に入る瞬間だった。
ああ、どこの国にも天使っている。
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とびしょ濡れ3人組は、彼、マイクたちが住む社宅へお世話になることに。
うれしさ弾け、ビーチで飛び跳ねつつ、記念撮影。
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コリアン2人組は翌日アメリカへもどったが、
マイコと2日後に合流する予定の私はもう2泊、マイクとグレッグのうちに居候することに。
朝はふたりを送り出し、昼はお礼に掃除や料理をしながらふたりを待った。
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野菜不足だという彼らのために、ミネストローネやバジリコやブルスケッタなど並べて待ってると、
帰るなり、大喜びでわしわし食べるふたり。
下宿屋のオバチャン気分で3日間、せっせと作っては食べさせていた。

前置きが長くなった。
そのふたりがドライブに行こうと誘ってくれた、アラスカ最後の日に見たこの景色。
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個展でもたくさんの人から、「どこで撮った写真ですか?」と質問されたこの一枚。
「アラスカです」と答えつつ、語りたいストーリーが胸の中でうずまいていた。
いま、やっとこうしてマイクたちのことを語ることができた。
なんというタイムラグ。これも私らしいか。
どの一枚にもそれぞれのストーリーがある。

去年にひきつづき、神戸から個展に来てくれたミユキさん。
彼女の部屋にこの一枚が飾られるのもうれしい。
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by 55ritsuko | 2011-12-13 16:53

RITSUKO NISHIZAWA  photographer。中学教師18年→カナダ生活6年→故郷長崎を拠点に世界を旅する。


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